木のない森
アーティスト・イン・レジデンス成果発表展
日本新潟市芸術創造・村国際青少年センター(ゆいぽーと)
2024
无木之林
艺术驻地成果发表展
日本新泻市艺术创造村·国际青少年中心(YUI-PORT)
2024
レジデンス滞在期間の初め、私は体調を崩していたため、部屋で休養していた。外出もしなかったので、暇つぶしで周りの空間を観察し始めた。 部屋にはとても古い木製の机があり、毎日そこで食事をしたり本を読んだりしていた。 机の天板は木目で覆われ、使用された痕跡もたくさんあった。木目の長さはさまざまで、短いものは欠けた風景画のようであり、長い木目はランダムに描かれた線のようである。私は木目を見つめながら想像することが日課になった。
しばらくしてから、体調が回復し外出するようになった。 ゆいぽーとのレジデンスは日本海沿いの中学校を改装した公共施設を拠点にしているため、ほぼ毎日海辺を散歩することができた。 海沿いには松林があり、およそ180年前に砂よけとして植えられたと言われている。 松の一部は害虫によって枯れてしまったため伐採され、今でも切り株がたくさん残っている。 根元部分の木目が乾燥して割れてできた隙間や、害虫に食べられた木の穴はアリの楽園となり、放射状の木目(年輪)は今も森の過去の記憶を保っているようだ。
そのような環境に囲まれていたからかもしれないが、私はありあわせの材料で、松の木の木目、机の木目、会場の窓の外にある藤棚の木目を、接着剤と樹脂を使ってラッピングシートに描写し始めた。 松の木の断面、人工の紫藤の棚、木材でできた机。「自然」と「不自然」という模様が、すべてラッピングシートに記録された。会場に吊るされた透明な木目が日差しに照らされ、キラキラと輝いた。
その後、部屋の机は昭和32年(1957年)2月7日に購入された、改築前の木造校舎だった新潟市立二葉中学校の理科室の机であったことを聞いた。 かつての町の記憶を残しているこの机には、木目の線と人為的な跡が、町と自然の過去と現在をつないでいるようで、私は気づかないうちに木目から新潟市の記憶の一部を「読み取ってしまった」。 「一粒の砂にも世界を,一輪の野の花にも天国を見る。」というウィリアム・ブレイクの詩「無垢の予兆」を思い出した。 木目を見つめるたびに、その町とその町の自然を見ることができるのだろうか。
驻地前期我因病在宿舍休息,便有了大段闲暇开始观察宿舍。宿舍内有一张很旧的木桌子,我每天都在桌子上吃饭、看书,看书走神时关注点便落在这张桌子上。桌面布满了木纹,还有大量的使用痕迹。木纹的线条长短不一,短的像山水画的皴,而长条木纹像随意勾勒的线条,我盯着木纹想象便成为静养的日常。
身体康复后我开始出门,YUI-PORT 驻地是由一个中学的教学楼改造的,位于日本海沿岸,我每天都会去海边散步。海边有一片松树林,据说是为了防止海啸至少在300年前种植的防护林,部分松树因害虫整棵树枯萎而被砍伐,树林里依然保留着不少砍伐后的截面。树根截面木纹干裂的缝隙、被害虫啃食的树洞里成为了蚂蚁的乐园,放射状木纹(年轮)仿佛仍然保持着森林过往的记忆。
我用身边现有的材料,开始用胶水和树脂在塑料纸上拓写松树和桌子的木纹,还有展厅窗外的木架子。被砍伐的松树截面、人造仿木纹的紫藤木架子、运用木材制作成的桌子等这些木纹,“自然”与“不自然”的纹路都被记录在塑料纸上。我把拓写的塑料纸挂在展厅里,透明的木纹在阳光下熠熠生辉。
后来听闻驻地宿舍的桌子购于昭和32年(1957年)2月7日,是原“新泻市立二叶中学校”的理科室桌子,而二叶中学在翻新前是木造的教学楼。
在这张保存着过去城市记忆的桌子上,木纹和人造痕迹的线条里似乎连接着城市与自然的过去与现在,我无意间用木纹“读取”了新泻市的一段记忆。想起布莱克的诗歌《天真的预言》中“一粒沙中见世界,一朵野花中见天国”。我们能否通过凝视木纹,窥见整个城市与森林(自然)呢?